アイヒラーの法則

宿主の姉妹クレードを比較すると、分類学的に多い宿主において、分類学的に多い寄生虫相を見ることができる。

寄生生物は宿主に対して特異性が高い傾向があり、したがって宿主の分類学的な多さと寄生生物のそれには正の共変動があると期待するのは妥当である。ドイツの動物学・寄生生物学の権威であるヴォルフディートリヒ・アイヒラー(Wolfdietrich Eichler, 1912–1994)[1]が1942年にこの関係を最初に指摘し、のちにこれはアイヒラーの法則と命名された。共進化法則の最初の3つのうちの1つである[2]

近年、Vasと共著者は[3]アイヒラーの法則の検証し、非常に強い相関の証拠が鳥類と哺乳類の種の多さとそれらの寄生シラミの属の多さの間の正の共変動を支持すると結論付けた。

脚注

  1. ^ Eichler, W. (1942). “Die Entfaltungsregel und andere Gesetzmäßigkeiten in den parasitogenetischen Beziehungen der Mallophagen und anderer ständiger Parasiten zu ihren Wirten”. Zoologischer Anzeiger 136: 77–83. http://phthiraptera.info/sites/phthiraptera.info/files/39548.pdf. 
  2. ^ Klassen, G. J. (1992). “Coevolution: a history of the macroevolutionary approach to studying host-parasite associations”. Journal of Parasitology 78 (4): 573–587. doi:10.2307/3283532. PMID 1635016. 
  3. ^ Vas, Z.; Csorba, G.; Rozsa, L. (2012). “Evolutionary co-variation of host and parasite diversity – the first test of Eichler's rule using parasitic lice (Insecta: Phthiraptera)”. Parasitology Research 111: 393–401. doi:10.1007/s00436-012-2850-9. http://www.zoologia.hu/list/Vas_Csorba_Rozsa_2012.pdf. 
生物分布の法則

アレンの法則 寒い地域に住む個体群ほど突出部が小さくなる
ベルクマンの法則 寒い地域に住む個体群ほど体が大きくなる
コープの法則 体の大きさは時代の経過により大きくなる
深海巨大症 深海生物の体が大きくなる
ドロの法則 複雑な特性の喪失は不可逆である
アイヒラーの法則 寄生虫は宿主と共に変化する
エメリーの法則(英語版) 昆虫の社会寄生中はしばしばその宿主と同じ属である
ファーレンホルツの法則(英語版) 宿主と寄生虫の系統発生は一致する
フォスターの法則 島嶼部においては、大型動物は小さくなり、小型動物は大きくなる
ガウゼの法則 完全な競争者は共存できない
グロージャーの法則 寒い地域に住む個体群ほど体色が薄くなる
ホールデンの法則(英語版) Hybrid sexes that are absent, rare, or sterile, are heterogamic
ハリソンの法則(英語版) 寄生虫の大きさは宿主とともに変化する
ハミルトン則 相手の血縁度と相手が得る利益の積が行為者への生殖コストを上回ると遺伝子の頻度が増加する
ヘニッヒの発達則 分類学において、もっとも原始的な種は集団の領域の最も早い、中心部にある
ジャーマン・ベル原理(英語版) 動物の大きさとその食事の質の相関関係。大きな動物は質の低い食事ができる
ジョーダンの法則 水温と鰭条や椎骨の数との逆相関
ラックの原理 鳥は食べ物を提供できるだけの卵を産む
ラポポートの法則 低緯度地域ほど狭い地域に多くの生物種が生息する
レンチェの法則(英語版) 体の大きさの性的二形はオスが大きくなると大きくなり、メスが大きくなると小さくなる
ローザの法則(英語版) 集団は原始種の中の変化特性から高度な種の中の固定特性へ進化する
シュマルハウゼンの法則(英語版) 1つの側面で許容範囲にある個体群は、他の側面での小さな違いに対して脆弱である
ソーソンの法則(英語版) 底生海洋無脊椎動物の卵の数は緯度と共に減少する
ヴァン・ヴェーレンの法則 集団の絶滅の確率は、時間に関係なく一定である
フォン・ベーアの法則(英語版) 胚は一般的な形から始まり、だんだんと特殊な形になっていく
ウィリストンの法則(英語版) 生物の一部は数が減り、機能に特化する