アケボノソウ

アケボノソウ
花を付けたアケボノソウ、鈴鹿山脈の藤原岳(三重県いなべ市)、2017年10月撮影
花を付けたアケボノソウ、2017年10月
鈴鹿山脈藤原岳三重県いなべ市
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : キク類 asterids
階級なし : シソ類 lamiids
: リンドウ目 Gentianales
: リンドウ科 Gentianaceae
: センブリ属 Swertia
: アケボノソウ S. bimaculata
学名
Swertia bimaculata (Siebold et Zucc.) Hook.f. et Thomson[1] ex C.B.Clarke[2]
和名
アケボノソウ
品種
  • ホシナシアケボノソウ S. bimaculata f. impunctata[3]

アケボノソウ(曙草、狼牙菜[4]学名Swertia bimaculata (Siebold et Zucc.) Hook.f. et Thomson[5] ex C.B.Clarke[2])は、リンドウ科センブリ属分類される2年草の1種[6][7]和名は花冠の斑点を夜明けの星空に見立てたことに由来する[6][7]。別名が、キツネノササゲ。中国名が獐牙菜[8]

特徴

の高さは50-90[9] cmで直立し枝分かれし[6]、断面は4稜条があり[7]四角形[9]根生葉は、大きな長楕円形で長い葉柄と平行する数脈があり、花期には枯れる[6][7]。茎は卵状楕円形(卵形または披針形[7])、長さ5-12 cm[7]、基部はくさび形で[7]先端が尖る[6]。葉の脇から分枝して[10]、長さ1-5 cmの花柄がある白色(黄白色)のを集散状円錐花序にまばらに付ける[7]花冠は深く4-5裂し基部で合着していて離弁花のように見える[9]。裂片には直径1.5 mmの黄緑色の蜜腺溝が2個あり、縁にはセンブリのような毛はない[7]。また裂片には濃緑色の斑点が多数ある[6]。開花時期は9-10月[6]も4-5深裂し、裂片は広倒披針形で花冠裂片より短い[7]果実は蒴果で花冠より少し長く裂開し[9]、黒褐色で長さ約1 mmの表面に細かい粒状突起がある種子を出す[7]。発芽後1年目はロゼットのまま過ごす。稀に花冠に斑点がない品種として、ホシナシアケボノソウ(フナシアケボノソウ、学名:Swertia bimaculata (Siebold et Zucc.) Hook.f. et Thomson ex C.B.Clarke f. impunctata (Makino) Satake[3])がある[7]

  • 深く5裂した花冠、裂片には2個の黄緑色の蜜腺溝と多数の濃緑色の斑点がある
    深く5裂した花冠、裂片には2個の黄緑色の蜜腺溝と多数の濃緑色の斑点がある
  • 4稜条がある茎と卵状楕円形の茎葉
    4稜条があると卵状楕円形の茎
  • 蒴果と黒褐色の表面に細かい粒状突起がある種子
    蒴果と黒褐色の表面に細かい粒状突起がある種子

分布と生育環境

山地のやや湿り気のある場所に生育するアケボノソウ

中国朝鮮半島[10]日本温帯から暖帯にかけて分布する[9]

日本では北海道本州四国九州に分布する[6]田中澄江による『新・花の百名山』で伯耆大山を代表する花の一つとして紹介されている[11]

山地のやや湿り気のある場所や木陰[10]に生育する[6]山野草として利用されている。

種の保全状況評価

日本では以下の都道府県で、レッドリストの指定を受けている。植生の遷移や河川改修などにより個体数の減少が危惧されている地域がある[12]

関連画像

  • アケボノソウの花と蕾(篠山市、2011年10月16日)
    アケボノソウの花と蕾(篠山市、2011年10月16日)
  • アケボノソウと湿った地面の様子(篠山市、2011年10月16日)
    アケボノソウと湿った地面の様子(篠山市、2011年10月16日)

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ Thomas Thomson (1817-1878) botanist or Carl Gustaf Thomson (1829-1899) entomologist
  2. ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “アケボノソウ”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2017年11月30日閲覧。
  3. ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “ホシナシアケボノソウ”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2017年11月30日閲覧。
  4. ^ 『日本難訓難語大辞典』遊子館、2007年。 
  5. ^ Thomas Thomson (1817-1878) botanist or Carl Gustaf Thomson (1829-1899) entomologist
  6. ^ a b c d e f g h i 林 (2009)、255頁
  7. ^ a b c d e f g h i j k l 佐竹 (1981)、34頁
  8. ^ “Swertia bimaculata” (英語). eFlora. 2017年12月1日閲覧。
  9. ^ a b c d e 牧野 (1982)、443頁
  10. ^ a b c 高村 (2005)、327頁
  11. ^ 田中 (1995)、339-342頁
  12. ^ a b “レッドデータブック東京、アケボノソウ”. 東京都. 2017年11月30日閲覧。
  13. ^ “埼玉県レッドデータブック2011 植物編、維管束植物” (PDF). 埼玉県. pp. 142. 2017年11月30日閲覧。
  14. ^ “千葉県レッドリスト−植物・菌類編(2017年改訂版)” (PDF). 千葉県. pp. 19. 2017年11月30日閲覧。
  15. ^ “山形県第2次レッドリスト(植物編)について(2013年度改訂版)” (PDF). 山形県. pp. 20. 2017年11月30日閲覧。

参考文献

関連項目

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  • コモンズのメディア
  • ウィキスピーシーズの生物目録

外部リンク

  • アケボノソウの標本(島根県出雲市で1994年10月に採集) 島根大学生物資源学部デジタル標本館
  • 牧野標本館タイプ標本データベース、フナシアケボノソウ 東京都立大学 (1949-2011)牧野標本館
  • Swertia bimaculata (Siebold & Zucc.) Hook. f. & Thomson ex C.B. Clarke (The Plant List)(英語)
  • Swertia bimaculataEncyclopedia of Life(英語)
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