ガンビア料理

チェレ(キビクスクス。シチューを掛けている。本文参照)
チキンヤッサ(鶏肉のシチューライスに掛けられている)
Tapalapa is a West African bread
西アフリカの伝統的なパンであるタパラパはよく朝食に食べられる[1]

ガンビア料理とは、西アフリカガンビアの伝統的な料理である。隣国セネガルの料理と同様に、地元産の食材を用いており、非常に多様である[2]。植物を料理に多用していることは、ガンビアの癌の発生率(英語版)の低さに寄与している[3][4]

主菜

ガンビアの食事は、炭水化物 (クスクスキャッサバなど) が基本で、これに肉や魚を用いたソースを添えて供される[5][6]。味付けとしては辛味が強い[7]

伝統的なガンビア料理としては、ジョロフライスとして知られるベナチン(ウォロフ語で「一つの鍋」の意[5])はトマトソースを用い、肉や魚を野菜と一緒にした炊き込みご飯の一種である。ドモダはピーナッツ・ソースを用いた肉や魚のシチューで、フィンディ(雑穀)で作ったクスクスやライスとあわせて食べる。サラダレタスコショウブイヨンキューブタマネギを和えたもので、トマト、ビート、ニンジンなどと一緒に肉や魚に添える[2]プラサス(英語版)もシチューで、ソースはパーム油キャッサバの葉から作られる[5]

ガンビアで出回っている肉はハラールで、一般的な肉の他に、子羊や子牛も含まれる。キリスト教コミュニティでは豚も飼育されている[8]。肉料理としては、タマネギ、コショウ、ビネガー、マスタードレモン鶏肉を味付けしてローストしたチキンヤッサ(英語版)、ベースニェベ(Base Nyebe)と呼ばれる肉と野菜のシチューなどがある。キビから作られたクスクスはチェレ(CherrehまたはChere)と呼ばれ、普通はタマネギ、コショウ、トマト、野菜で味付けした、魚肉または肉のシチューと一緒に供される[2]

ガンビアでは漁業が盛んに行われている。最も一般的な魚はニシン科のボンガで、他の魚や肉よりも安価で購入できることから人気がある[9]。そのほかターポンエビ、川牡蠣もあり、牡蠣はシチューやスープに使われる[8]。魚料理としては、ジャンバラヤに似たチェブジェンがある[10] [11]

スイバの葉やレタスを添えてパーム油で調理した、魚や仔牛の燻製をベースにしたスープも何種類かある。この国で見られるほうれん草に似た野菜はビサップで、その葉は調理したり、絞ってビタミンCが豊富なジュースにできる。ガンビアで一般的な野菜としては他に、サツマイモモロコシオクラ、樹木の葉ではバオバブパンノキワサビノキなどがある。後者は、粥、ビスケット、ソース、オムレツ、飲み物、サラダなどに用いられている。カルシウムカリウムが豊富なモリンガの花は、揚げるとキノコの風味が増す[2]

ビールは、この国で最も人気のあるアルコール飲料である。ヨーロッパやアメリカからの輸入が一般的だが、Julbrewという地元ブランドもある。伝統的な酒としてはミレットビールヤシ酒などがある。その他の代表的な飲料には、ココナッツジュースハイビスカス・ティーの一種であるビサップジュース(英語版)[注釈 1]、利尿作用で知られるシクンシ科キンケリバ(英語版)のお茶などがある[12]

デザートとしてはクスクスにバナナなどのフルーツとヨーグルトなどを加えたチャケリがある[13] [14]

脚注

注釈

  1. ^ 「ジュース」と呼ばれるが、煮出して作るので広義の茶(植物を煎じた飲料)に相当する。

出典

  1. ^ Kathryn Burrington (2021年5月7日). “Traditional Gambian Food And Drink” (英語). The Gambia Experience. Serenity Holidays Ltd. 2022年11月4日閲覧。
  2. ^ a b c d (Rémy 2002 & Rémy, p. 230)
  3. ^ “国際的疫学調査から大腸癌の危険因子を割り出す”. 本郷メディカルクリニック. 2022年10月18日閲覧。 “世界で最も大腸癌発生率が高い国は東欧のハンガリーで、逆に低いのはアフリカのガンビアで、その違いは実に45倍です”
  4. ^ Jonas&Gordon 2000, p. 109.
  5. ^ a b c (Bennett 2011 & Bennett, p. 120)
  6. ^ 室橋裕和 (2021年8月30日). “「名古屋いいとこだよ、めっちゃ好き」 食堂の名物おかみ、実はガンビア総領事”. Yahoo!ニュース. 2022年12月1日閲覧。 “ガンビアは毎日ライス、日本と一緒。ガーリックとジンジャー、黒コショウをいっぱい使うのが特徴かな。野菜とシーフードもたくさん食べるよ”
  7. ^ Jonas&Gordon 2000, p. 110.
  8. ^ a b (Rémy 2002 & Rémy, p. 231)
  9. ^ 『付属資料1 ガンビアの現状と地域の現状』(pdf)JICA、2007年2月9日、113頁。https://openjicareport.jica.go.jp/pdf/11856234_02.pdf 
  10. ^ (Jonas e Gordon 2000 & Jonas, p. 111)
  11. ^ 本山尚義『全196ヵ国おうちで作れる世界のレシピ』ライツ社、2017年、141頁。https://books.google.co.jp/books?id=RXJKDwAAQBAJ&pg=PA1412022年11月4日閲覧。"現地では、広大なガンビア川で獲れた魚を使ってつくる炊き込みごはん。魚を焼いてから入れるのは日本と同じ。おかずがいらないぐらいのごちそうです"。 
  12. ^ (Rémy 2002 & Rémy, p. 231)
  13. ^ “Chakery (A West African Dessert)” (英語). International Cuisine (2015年8月6日). 2022年12月1日閲覧。
  14. ^ “ガンビア料理店を切り盛りするYOU、過去には美容師としてプロ野球選手を担当?「東京五輪」にも出場した...”. テレ東プラス (2022年6月6日). 2022年12月1日閲覧。

参考文献

  • Rémy, Mylène (英語). The Gambia: today. Les Editions du Jaguar. https://archive.org/details/gambiatoday0000remy/page/230/mode/2up?q=cuisine 
  • Jonas, Steven; Gordon, Sandra (英語). 30 secrets of the world's healthiest cuisines : global eating tips and recipes from China, France, Japan, the Mediterranean, Africa, and Scandinavia. Wiley. https://archive.org/details/30secretsofworld00stev/page/108/mode/2up?q=gambian+cuisine 
  • Bennett, Lindsay (英語). The Gambia. Thomas Cook. https://archive.org/details/gambia0000benn_e5i4/page/120/mode/2up?q=cuisine 

外部リンク

  • “Gambian Cooking Recipes” (英語). accessgambia.com. 2022年11月4日閲覧。
  • Margaret Ellis (2015) (英語). West African Perspective: Recipes Inspired by Gambian Cuisine with an International Blend. Xlibris Corporation. https://books.google.co.jp/books?id=SSxWCgAAQBAJ 2023年2月13日閲覧。 
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