ジェイムズ・ハミルトン (第5代アバコーン公爵)

5代アバコーン公(1990年アラン・ウォーレン (写真家)(英語版)撮影)

第5代アバコーン公爵ジェイムズ・ハミルトン: James Hamilton, 5th Duke of Abercorn, KG1934年7月4日 - )は、イギリスの貴族、政治家。

襲爵前にアルスター統一党所属の庶民院議員を2期務め、後に王室家政長官(Lord Steward; 王室家令長)[訳語疑問点]に任命された。

経歴

1995年11月30日ビル・クリントン米大統領とヒラリー・クリントン大統領夫人と話すアバコーン公

ハミルトン侯爵ジェイムズ・ハミルトンの長男(第2子)としてロンドンで生まれる[1]。母親のキャスリーン・ハミルトン(英語版)はクリントン子爵ヘンリー・クリントン(第4代アーン伯爵ジョン・クリントン(英語版)の長男で第5代アーン伯爵ジョン・クリントン(英語版)の父)の娘[1][2]。父親が第4代アバコーン公爵となった1953年から自身が襲爵する1979年までは「ハミルトン侯爵」(Marquess of Hamilton)の儀礼称号を称した[1]

イートン・カレッジを経てイギリス王立農業大学(Royal Agricultural College)で学び[1]1952年グレナディアガーズに入隊。1964年イギリス総選挙ロバート・グローヴナー卿(英語版)(後の第5代ウェストミンスター公爵)の後継としてファーマナ・アンド・サウス・ティロン(英語版)選挙区から立候補、政界入り。以後1970年イギリス総選挙で落選するまでアルスター統一党所属の庶民院議員[2]1979年に父親の死去により爵位を相続、グレートブリテン貴族「アバコーン侯爵」として貴族院に議席を得る。貴族院改革のあった1999年11月11日まで在職した[3][注釈 1]1970年にティロン県長官[訳語疑問点]High Sheriff of Tyrone)となり[5]1987年から2009年まではティロン県知事[訳語疑問点]Lord Lieutenant of Tyrone)も務めた[6][2]1999年ガーター勲章を受勲[7]2000年から2008年までアイリッシュガーズの名誉職の隊長に任じられており[8]、加えて2001年から2009年まで王室家政長官の職にあった。

2012年10月17日からガーター騎士団長(英語版)に就任した[9]

アバコーンは15,000エーカー(61平方キロメートル)以上の土地を所有するアイルランド島最大の地主の一人であり、北アイルランドティロン県ニュータウンスチュワート(英語版)のバロンズコートを邸宅としている。

栄典

2006年6月19日ガーター・セレモニーでセント・ジョージ・チャペルへ向かうガーター騎士団員アバコーン公爵(後方の人物)。手前の人物はアンソニー・アクランド(英語版)

爵位/準男爵位

1979年6月4日の父ジェイムズ・ハミルトンの死により以下の爵位を継承した[1][10]

  • 第5代アバコーン公爵 (5th Duke of Abercorn)
    (1868年8月10日創設アイルランド貴族爵位)
  • 第6代アバコーン侯爵 (6th Marquess of Abercorn)
    (1790年10月15日創設グレートブリテン貴族爵位)
  • ティロン県におけるストラバンの第5代ハミルトン侯爵 (5th Marquess of Hamilton, of Strabane in the county of Tyrone)
    (1868年8月10日創設アイルランド貴族爵位)
  • 第14代アバコーン伯爵 (14th Earl of Abercorn)
    (1606年7月10日創設スコットランド貴族爵位)
  • 第9代ストラバン子爵 (9th Viscount Strabane)
    (1701年9月2日創設アイルランド貴族爵位)
  • 第7代ハミルトン子爵 (7th Viscount Hamilton)
    (1786年8月8日創設グレートブリテン貴族爵位)
  • レンフルー州における第14代ペイズリー卿 (14th Lord Paisley, in the County of Renfrew)
    (1587年7月29日創設スコットランド貴族爵位)
  • リンリスゴー州における第14代アバコーン卿 (14th Lord Abercorn, in the County of Linlithgow)
    (1603年4月5日創設スコットランド貴族爵位)
  • 第14代ペイズリー、ハミルトン、マウントカシェルおよびカークパトリック卿 (14th Lord of Paisley, Hamilton, Mountcastell and Kilpatrick)
    (1606年7月10日創設スコットランド貴族爵位)
  • ティロン県における第15代ハミルトン卿、ストラバン男爵 (15th Lord Hamilton, Baron of Strabane in the County of Tyrone)
    (1617年5月8日創設アイルランド貴族爵位)
  • ティロン県における第9代マウントキャッスル男爵 (9th Baron Mountcastle, in the County of Tyrone)
    (1701年9月2日創設アイルランド貴族爵位)
  • (ダナロングの)第15代準男爵 (15th Baronet, "of Dunalong")
    (1660年頃創設アイルランド準男爵位)

勲章

家族

1966年10月20日ウェストミンスター寺院でアレグザンドラ・フィリップスと結婚した。彼女の妹ナタリアは第6代ウェストミンスター公爵ジェラルド・グローヴナーの夫人となっている。

夫婦の間には2男1女が生まれている[1][2]

子女

夫婦の間には2男1女が生まれている[1][2]

  1. ジェームズ・ハロルド・チャールズ・ハミルトン(1969年8月19日-)-ハミルトン侯爵; 2004年5月7日にターニャ・マリー・ネーションと結婚した。
  2. ジェームズ・アルフレッド・ニコラス・ハミルトン卿(2005年10月30日-)-ストラベーン子爵
  3. クロード・ダグラス・ハロルド・ハミルトン卿(2007年12月12日-)
  4. レディー・ソフィア・アレクサンドラ・ハミルトン(1973年6月8日-); 2002年9月7日にアンソニー・ロイドと結婚し、2005年に離婚した。
  5. ニコラス・エドワード・ハミルトン卿(1979年7月5日-); 2009年8月30日にタチアナク・ロンバーグと結婚した。

脚注

[脚注の使い方]

注釈

  1. ^ トニー・ブレア政権による貴族院改革により、1999年11月11日に世襲貴族の議席は92議席を残して削除され、アバコーン公爵を含む大半の世襲貴族が議席を失った。以降の貴族院は爵位を世襲できない一代貴族が議員の大半を占めている[4]

出典

  1. ^ a b c d e f g Lundy, Darryl. “James Hamilton, 5th Duke of Abercorn” (英語). thepeerage.com. 2012年2月12日閲覧。
  2. ^ a b c d e Cracroft-Brennan, Patrick. “James [Hamilton], 5th Duke of Abercorn, KG” (英語). Cracroft's Peerage. 2012年2月12日閲覧。
  3. ^ UK Parliament. “Mr James Hamilton” (英語). HANSARD 1803–2005. 2014年10月16日閲覧。
  4. ^ 田中(2009) p.229/241
  5. ^ "No. 2596". The Belfast Gazette (英語). 9 January 1970. p. 13. 2012年2月12日閲覧
  6. ^ "Lieutenants and Lords-Lieutenants (Ireland) 1831-" (英語). Institute of Historical Research (University of London). 2018年7月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年2月12日閲覧
  7. ^ a b "No. 55466". The London Gazette (英語). 23 April 1999. p. 4575. 2012年2月12日閲覧
  8. ^ "No. 56020". The London Gazette (Supplement) (英語). 7 November 2000. p. 12480. 2012年2月12日閲覧
  9. ^ a b "No. 60301". The London Gazette (英語). 17 October 2012. p. 19937.
  10. ^ Heraldic Media Limited. “Abercorn, Duke of (I, 1868)” (英語). Cracroft's Peerage The Complete Guide to the British Peerage & Baronetage. 2015年11月2日閲覧。

参考文献

  • 田中嘉彦「英国ブレア政権下の貴族院改革 : 第二院の構成と機能」『一橋法学』第8巻第1号、一橋大学大学院法学研究科、2009年3月、221-302頁、doi:10.15057/17144、ISSN 13470388、NAID 110007620135。 

外部リンク

ウィキメディア・コモンズには、第5代アバコーン公爵ジェイムズ・ハミルトンに関連するカテゴリがあります。
  • Hansard 1803–2005: contributions in Parliament by Mr James Hamilton(英語) (英語)
  • Duke of Abercorn - IMDb(英語)
グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国議会
先代
ロバート・グローヴナー卿(英語版)
ファーマナ及びティロン選挙区(英語版)選出庶民院議員
1964年 - 1970年
次代
フランク・マクマヌス(英語版)
宮廷職
先代
第4代リドリー子爵(英語版)
王室家政長官(英語版)
2001年 - 2009年
次代
第17代ダルハウジー伯爵
軍職
先代
ルクセンブルク大公ジャン
アイルランド近衛連隊名誉連隊長
2000年 - 2008年
次代
サー・セバスチャン・ロバーツ
名誉職
先代
ジョン・ハミルトン=スタウバー(英語版)
ティロン知事(英語版)
1986年 - 2009年
次代
ロバート・ロウリー・スコット(英語版)
先代
第6代キャリントン男爵
ガーター騎士団騎士団長(英語版)
2012年 - 現在
次代
在任中
アイルランドの爵位
先代
ジェイムズ・ハミルトン
第5代アバコーン公爵
1979年 - 現在
次代
受爵中
職権上の騎士
  • 国王チャールズ3世1958
  • プリンス・オブ・ウェールズ2008
臣民の騎士
  • 第5代アバコーン公爵1999
  • イング男爵2001
  • バトラー男爵(英語版)2003
  • モリス男爵(英語版)2003
  • サー・ジョン・メージャー2005
  • ルース男爵(英語版)2008
  • サー・トマス・ダン(英語版)2008
  • フィリップス男爵2011
  • ボイス男爵2011
  • スターラップ男爵2013
  • マニンガム=ブラー女男爵2014
  • キング男爵2014
  • 第5代シャトルワース男爵2016
  • サー・デイヴィッド・ ブリューワー(英語版)2016
  • レディ・メアリー・フェーガン(英語版)2018
  • 第3代ブルックバラ子爵2018
  • レディ・メアリー・ピーターズ2019
  • 第7代ソールズベリー侯爵2019
  • アモス女男爵(英語版)2022
  • サー・トニー・ブレア2022
  • 空席4席
王族の騎士
  • ケント公爵1985
  • プリンセス・ロイヤル1994
  • グロスター公爵1997
  • アレクサンドラ王女2003
  • ヨーク公爵2006
  • エディンバラ公爵2006
  • 王妃2022
外国君主の騎士
  • マルグレーテ2世(デンマーク女王)1979
  • カール16世グスタフ(スウェーデン国王)1983
  • フアン・カルロス1世(スペイン前国王)1988
  • ベアトリクス(オランダ前女王)1989
  • 明仁上皇(日本前天皇)1998
  • ハーラル5世(ノルウェー国王)2001
  • フェリペ6世(スペイン国王)2017
  • ウィレム=アレクサンダー(オランダ国王)2018
オフィサー
  • Prelate:ウィンチェスター主教ティム・デーキン(英語版)
  • Chancellor:第5代アバコーン公爵
  • Registrar:ウィンザー首席司祭デイヴィッド・コナー(英語版)
  • Garter Principal King of Armsトマス・ウッドコック
  • Secretary:パトリック・ディキンソン(英語版)
  • Black Rodサラ・クラーク(英語版)
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