腹裏

腹裏(ふくり)は、元の行政区画。中書省が直轄する現在の河北省山西省山東省の地域を総称した[1]。腹裏は29路、8直隷州、3属府、91属州、346県を管轄した。上都大都の所在地である腹裏地区は元朝の政治の中心地として他の行省より重視されていたと考えられる。

「腹裏」は「内地」を示す言葉であり宋代よりその用法が見られる。元代においては河北・山西・山東というモンゴル草原に比較的近い地域を示す用語として用いられ、元朝が最初に征服した中原地区であり、その後全国統一を行うための基地としての性格を有していた。

それまで京師直轄地域は「三輔」や「京畿」・「直隷」と称されていたが、元朝の使用した「腹裏」は他王朝が使用した京師直轄地域とは比較にならない規模を有していた。腹裏は大量のモンゴル人、色目人が居住していた地域である。また金朝の中原統治の中枢地区であったため金代の行政制度の影響を強く受けていた。

腹裏は中書省直轄とされ行省のような行政機構は設置されなかったため、他の行省が設置された地域に比べ行政機構が1段階省略された構造となっている。行政機構は中書省の下部に山東東西道及び河北東西道宣慰司が設置されていた。

行政区画

脚注

  1. ^ 『経世大典序録』惟我太祖皇帝開創中土、而大業既定。世祖皇帝削平江南、而大統始一。輿地之後、古所未有。遂分天下為十一省、以山東、西、河北之地為腹裏、隷都省

参考文献

  • 王頲『元代行政地理研究』復旦大学博士学位論文 1989年
 
嶺北行省
  • 和寧路
  • 称海宣慰司
  • 益蘭州
  • 謙謙州
遼陽行省
河南行省
河南江北道
淮西江北道
江北淮東道
  • 揚州路
  • 淮安路
  • 高郵府
山南江北道
湖広行省
江南湖北道
嶺北湖南道
嶺南広西道
海北海南道
江西行省
江西湖東道
海北広東道
江浙行省
江南浙西道
浙東海右道
江東建康道
福建閩海道
陝西行省
鞏昌都総帥府
四川行省
四川南道宣慰司
叙南等処蛮夷宣撫司
  • 叙州路
  • 馬湖路
  • 紹慶府
  • 懐徳府
  • 上羅計長官司
  • 下羅計長官司
  • 四十六囤蛮夷千戸所
甘粛行省
雲南行省
  • 中慶路
  • 威楚開南路
  • 武定路
  • 鶴慶路
  • 雲遠路
  • 麗江路
  • 東川路
  • 茫部路
  • 孟傑路
  • 普安路
  • 徹里軍民総管府
曲靖宣慰司
  • 曲靖路
  • 澂江路
  • 普定路
  • 仁徳府
羅羅斯宣慰司
臨安広西宣慰司
  • 臨安路
  • 広西路
  • 元江路
大理金歯宣慰司
  • 大理路
  • 蒙憐路
  • 蒙萊路
  • 蒙光路
  • 柔遠路
  • 茫施路
  • 鎮康路
  • 鎮西路
  • 平緬路
  • 麓川路