4-エチルグアイアコール

4-エチルグアイアコール
4-Ethylguaiacol
4-エチル-2-メトキシフェノール
別称
p-エチルグアイアコール
2-メトキシ-4-エチルフェノール
識別情報
CAS登録番号 2785-89-9 チェック
PubChem 62465
ChemSpider 56245 チェック
UNII C9NFD83BJ5 チェック
  • Oc1ccc(cc1OC)CC
  • InChI=1S/C9H12O2/c1-3-7-4-5-8(10)9(6-7)11-2/h4-6,10H,3H2,1-2H3 チェック
    Key: CHWNEIVBYREQRF-UHFFFAOYSA-N チェック
  • InChI=1/C9H12O2/c1-3-7-4-5-8(10)9(6-7)11-2/h4-6,10H,3H2,1-2H3
    Key: CHWNEIVBYREQRF-UHFFFAOYAE
特性
化学式 C9H12O2
モル質量 152.19 g mol−1
外観 無色ないしごく薄い黄色の液体[1]
匂い 特異臭
嗅覚閾値 0.025mg/l(水中)[2]
融点

15 °C, 288 K, 59 °F

沸点

235℃[1]

危険性
安全データシート(外部リンク) External MSDS
EU分類 刺激性 Xi
NFPA 704
1
2
0
Sフレーズ S26 S37/39
引火点 108℃[1]
関連する物質
関連する、酒類のフェノール類 3-エチルフェノール
4-ビニルフェノール
4-ビニルグアイアコール
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

4-エチルグアイアコールは化学式C9H12O2で表されるフェノール類の一種である。4-EGとも略記される。フェノールの2位にメトキシ基、4位にエチル基を持つ構造から、2-メトキシ-4-エチルフェノールとも呼ばれる[1]。グアイアコールには「グアイヤコール」「グアヤコール」の表記ゆれが見られる。

生成

ワインの醸造において、ブドウ果汁に含まれる無臭のフェルラ酸を出発点とし、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)中の脱炭酸酵素4-ヒドロキシケイ皮酸デカルボキシラーゼにより4-ビニルグアイアコール(4-VG)が生成される。4-VGは白ワインのオフフレーバーとなる。赤ワインでは4-VGが酸化還元酵素ビニルフェノールレダクターゼにより4-エチルグアイアコールに変換される。フェルラ酸の代わりにp-クマル酸を出発点とする場合には、同様の経路で4-ビニルフェノール(4-VP)を経て4-エチルフェノール(4-EP)となる。嗅覚閾値は赤ワイン中で0.110mg/l、水中では0.025mg/lである。4-EPと4-EGの赤ワイン中の典型的な存在比率は10:1で、この比率で混合した場合の閾値は0.369mg/lとなる[2]

醤油においてもCandida versatilisにより生成され、香ばしい燻煙香をもたらすが、濃度が高すぎると薬品臭を生じ、風味が損なわれる[3]

香りの表現

特異臭を持ち、「スモーキー」[4]、「スパイシー」、「クローブ[5]、「動物」「薬品」「燻製」[6]などと表現される。

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ a b c d “2-メトキシ-4-エチルフェノール”. 東京化成工業 (2018年10月4日). 2020年4月30日閲覧。
  2. ^ a b (恩田 2013, pp. 884)
  3. ^ (食品分析開発センター 2010)
  4. ^ (早瀬 2014, p. 162)
  5. ^ (酒類総合研究所 2016)
  6. ^ (恩田 2013, pp. 883)

参考文献

  • 恩田匠「国産ワインにおけるフェノール系オフフレーバー「フェノレ」について」『日本醸造協会誌』第108巻第12号、日本醸造協会、2013年、881-889頁、2020年6月24日閲覧 
  • “においの豆知識(5) 発酵食品のにおい(2)-醤油の深秘-”. 食品分析開発センター (2010年4月). 2020年4月30日閲覧。
  • 「微生物が作る酒類の香り」(PDF)『エヌリブ』第29巻、酒類総合研究所、2016年3月31日、2020年3月3日閲覧 
  • 早瀬文孝, 渡辺寛人「つゆの香気成分とコク寄与成分」『日本醸造協会誌』第109巻第3号、日本醸造協会、2014年、161-167頁、2020年6月24日閲覧 

関連項目