IntelDX2

Intel i486DX2-66マイクロプロセッサ、正面から
同裏側。金色のピンが並ぶ。

IntelDX2(インテルディーエックスツー)は、インテル1992年に発売したx86アーキテクチャのマイクロプロセッサ。略称はDX2。

80486DXの内部クロックを2倍にして性能向上したもので、当初の名称は「80486DX2」だったが[1]、後に80486DXがi486DXに改名された際に同時に「i486DX2」に改名された。

更に1994年に、内部クロックを3倍にした「IntelDX4」(略称DX4)が発売され、同時に「i486DX2」は更に「IntelDX2」に改名された。

クロックダブリング

DX2の基本技術は486DXと同一だが、これに新たにダブルクロック(クロックダブリング)と呼ばれる技術を追加した。この技術はCPU全体のクロック周波数をシステムクロック(CPUバス)の2倍に引き上げるもので、同じバス周波数のi486DXベースのCPUよりも高速である。DX2はクロックダブリングをした最初のマイクロプロセッサである。

たとえばDX2-50は、バス周波数25MHz、クロック周波数50MHzなので、DX-25と互換性があり、DX-50と同じ(DX-25の2倍の)処理能力を持つ。したがって、CPUがDX-25のシステムのCPUだけをDX2-50に変更すれば、設計・仕様をほとんど変えずにパフォーマンスを向上させられる。DX2-50のシステムのパフォーマンスはDX-25とDX-50の間であり、ボトルネックがCPU外にあればDX-25に近づき、CPU内にあればDX-50に近づく。

同様のCPU変更は、完成・販売したシステムに対しても可能である。このための交換用CPUがオーバードライブプロセッサ (ODP) である。486SXや486DX用に、内部がDX2のODPが販売された。

ラインナップ

  • i486DX2
    • i486DX2-50:CPUバスが25MHz、クロック周波数が50MHz
    • i486DX2-66:CPUバスが33MHz、クロック周波数が66MHz
  • i486DX4
    • i486DX4-75:CPUバスが25MHz、クロック周波数が75MHz
    • i486DX4-100:CPUバスが33.3MHz、クロック周波数が100MHz

影響

1993年には次世代のPentiumが発表されたが、DX2やDX4は従来の安価で普及済の486系のマザーボードも使用でき、モデルによっては当初のPentiumを上回る性能を実現したため、当時のVESA ローカルバス対応のビデオカードと同時に広く普及した。特に日本ではPC/AT互換機の普及時期とも重なった。

またインテルはIntel 80386からはセカンドソースを原則廃止したが、資本参加を受けていたIBMには例外的にIntel486までの製造ライセンス提供を継続した。IBMは当時はPowerPC推進もありPentium採用は遅らせ、x86市場ではIBM486DLC2やIBM486DLC3などの通称Blue Lightningシリーズも投入した。

またAMDは40MHzのCPUバスで80MHzで駆動するDX2チップを開発した。

これ以後のCPUでは、CPUバス周期につき複数のCPUクロックを実行するものが一般的となった。

脚注

  1. ^ 「The Intel microprocessors: 8086/8088, 80186/80188, 80286, 80386, 80486, Pentium, Pentium Pro processor, Pentium II, Pentium III, and Pentium 4 : architecture, programming, and interfacing」(Pearson/Prentice Hall, 2006, p900)[1]
486DX2
生産終了
x86以前(4ビット
x86以前(8ビット
x86(x86-16、16ビット
IA-32(x86-32、32ビット
x64(x86-64、64ビット
IA-64(64ビット)
その他
現行
x64(x86-64、64ビット)
その他
マイクロ
アーキテクチャ
P5
 
P5ベースのコア
0.90 μm
  • P5
0.60 μm
  • P54C
0.35 μm
  • P54CS
  • P55C
0.25 μm
  • Tillamook
P6
 
P6ベースのコア
0.50 μm
0.35 μm
0.25 μm
180 nm
130 nm
90 nm
65 nm
NetBurst
 
NetBurstベースのコア
180 nm
130 nm
90 nm
65 nm
Core
 
Coreベースのコア
65 nm
45 nm
Atom
 
Atomのマイクロアーキテクチャ
45 nm
32 nm
22 nm
14 nm
10 nm
Intel 7
Nehalem
 
Nehalemベースのコア
45 nm
32 nm
  • Westmere (Arrandale
  • Clarkdale
  • Gulftown)
Sandy Bridge
 
Sandy Bridgeベースのコア
32 nm
22 nm
Haswell
 
Haswellベースのコア
22 nm
14 nm
Skylake
 
Skylakeベースのコア
14 nm
10 nm
Cypress Cove
 
Cypress Coveベースのコア
14 nm
Sunny Cove
 
Sunny Coveベースのコア
10 nm
Willow Cove
 
Willow Coveベースのコア
10 nm
Golden Cove (+Gracemont)
 
Golden Coveベースのコア
Intel 7
Raptor Cove (+Gracemont)
 
Raptor Coveベースのコア
Intel 7
Redwood Cove (+Crestmont)
 
Redwood Coveベースのコア
Intel 4
Intel 3
Lion Cove (+Skymont)
 
Lion Coveベースのコア
Intel 20A
Intel 18A
  • カテゴリ